ジオのブログ

しょっぱいものが好き

週報 2025-52週目

年末に大作を読もうとし、その度に頓挫している。

今週見たもの読んだもの

エディントンへようこそ

a24jp.com

アリ・アスターの新作。この監督の作品を観ると、なんだか夢を見たような気になる。

あらすじは、コロナ禍でロックダウンした田舎町エディントンで起きた事件。マスクを着用していなかった老人が入店拒否されていたことに義憤を感じた保安官のジョーは市長選に立候補する。しかし、小さな町の選挙戦のはずがアメリカを焼くほどの大事件になってしまう……というもの。

陰謀論に熱中している母親やブラックライブスマターの活動をする若者など、SNSで分断された人々にはその人たちの正義があり、ジョーの選挙戦は思うようにいかない。現市長との闘争に敗れたジョーは現市長を射殺する。ジョーは保安官の食研を使って自ら捜査をし、部下のマイケルに罪を擦り付けようとするサスペンス要素も加わる。

最終的にブラックライブスマターの過激組織アンティファが、白人が選挙活動をしているといった理由で街を襲撃、大虐殺の憂き目にあう。ジョーはなんとか生き延び、市長選を勝ち上がるが、本人の四肢は動かすことも発話も出来ない重介護者になってしまった。結局、陰謀論の義母が市長代理として半ワクチンの政策を執っていたのだった。

コロナ禍が始まった時のあのピリピリしていた空気感を政治戦に持っていったところは面白かったが、中盤以降のジョーの正気も薄れていくようなストーリーテリングとはスレ違いを起こしていて微妙だったな。

アリ・アスター作品の夢か現実かわからなくなっていくような視聴体験は、ストーリーテリングだけでなく、アンティファの襲撃シーンにミニチュア特撮やCGを組み込んでいたりと意欲的に組み込んでいたのだが、社会派要素の強い「エディントンへようこそ」には合わなかった。
ただ、前々作の、主人公の強迫観念からクライシスが来て現実が揺らぐ「ボーはおそれている」にめちゃくちゃハマっていており、個人的にはデビュー作の「ミッド・サマー」より面白いと思っているので、まだ見ていない方は是非。

女の子の背骨

books.bunshun.jp

「ハンチバック」で芥川賞を受賞した市川沙央の新作。

男女差別主義者の哲学者ヴァイニンガーを信奉する女子院生が三島由紀夫の「憂国」と元にしたAVを撮影を行う中編小説「オフィーリア23号」と、筋肉の難病を患うガゼルと姉との関係性を描く短編小説「女の子の背骨」

ブログで取り上げておきながら、こういう事を書いてしまうのは情けないが文章の濃さに追いつけなかった。何かしらのテーマというか題材が見えないまま読み終わってしまい悔しさがあった本。
「オフィーリア23号」では、裕福な開業医一家の娘がAVを取ろうとする部分に、「ハンチバック」の主人公を思いだした(ハンチバックの主人公は身体に障害をもっており、生まれ変わったら高級娼婦になりたいと夢見ていた)が、途中挿入されるヴァイニンガーの哲学に知識が追いつけずに読み終えてしまった。耽美主義的な文章の優雅さが強く出た作品。
「女の子の背骨」は背骨が曲がってしまう難病を抱えた姉妹が主題で、比較的症状の軽い妹は家族に連れられてグアム旅行に行く作品。症状が重い姉ばかりが気遣われて、元気な振る舞いを(暗黙の裡に)強制される妹が「何でもいいから何かを撃ち殺したい」と願う作品。美文調の「オフィーリア23号」と比べると肩の力が抜いて書かれた作品で、本人に近い部分が見えた小説だった。

もっと現代文学に明るくなりたいと、文芸雑誌を定期購読しようと強く思う要因になった本だった。難しいジャンルではるものの、もっと何かしらが見えてくるだろ、という感覚があった。文芸雑誌でなにかオススメありますかね。やはり文芸群像? それともすばるがいいのかな?

 

今週の感想

奈良旅行

友人たちと奈良へ行きました。奈良は観光するところが奈良県庁付近でぎゅっと集まっているので色々見やすかったです。丁度1日で回れるぐらいの感じだったので良かったですね。

行ったのは興福寺東大寺、アニメショップ、焼肉。

興福寺では国宝展を見に行きました。興福寺の宗派だったりを知らずに国宝展に入ったのでビジュアルでしか仏像を語る事ができないが、5mを超す大きさの仏像を見たりした。仏像の目の細さと瞳孔の鋭さに冷ややかな恐ろしさを感じました。仏像に恐怖するのは「宝石の国」を読んだからなのだが、その冷たさにどこか安堵しているジオがいた。あとは興福寺五重塔が改築工事中で見れずに終了。見たかったわね。

東大寺では大仏のデカさに感心したり、柱の穴くぐりをした。
何度か書いた記憶があるけど大きいものをみると人類の営為に感心してしまう。大仏……デカかったです…… 柱の穴くぐりは30cm×30cmの幅の穴を潜る、というもの。この狭い穴を潜れると願うがかなうとかなんとか。自分も潜り抜ける事が出来て良かったですね。

あとは近鉄奈良駅近辺の商店街にアニメショップがあったのでそこにいったり、焼肉へいったり。そこでジオの自我に関わるほどの出来事が起きたのだが自分事なので脚注に書く。*1

*1:そしてジオの破壊。同僚以上社内恋愛未満の相手がいるらしい友人からの看破が厳しかった。「お前はいつまでオタクをやっているんだ。今日も東方アレンジも狩っていたな。ジオは現実からやってきた問題を、実存的・哲学的に処理しすぎている。社交的や人情的に対応してこなかったせいで、人間に興味を持てなくなっている。そんなままだと最期まで一人っきりだぞ。お前の思想、主義、趣味嗜好、その他全てを捨てて改めなければいけないぞ」とマジのご指摘が入ってしまった。ちょっと恋愛をしているからって簡単に言っていい火力なんかじゃない。これをマジで喰らってしまい、今年感じてきた2025年の実感・手ごたえが全て吹き飛んでしまった。ジオの2025年は0点になっちゃいそうです。